モロッコ マラケシュの美宿、リヤド・エニヤ2009/09/12

モロッコ マラケシュの美宿、リヤド・エニヤ

今日はJ-WAVEのホームページ|httpに掲載の、6枚目の写真について。上記ホームページ内の「BON BOYAGE」の「BACK NUMBER」から2009.9.04.の「モロッコ マラケシュ」をクリックすると番組の内容もご覧いただけます。

この写真は、マラケシュの旧市街にあるリヤド・エニヤ|httpの客室です。私がもっとも好きなリヤドのひとつでして、私の著書 『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』|httpの表紙にも中庭の写真を使っています。リヤド・エニヤは、マラケシュではもっとも古いリヤドのひとつです。スウェーデン人建築家のご主人と、スイス人ホテリエのマダムが、2人で選んだという家具や調度品、クッションのひとつひとつまでがとにかくステキなんです。客室も、全室インテリアが異なって個性的です。

マラケシュの旧市街は、1000年も前に造られた古い街です。塀に囲まれた旧市街の古い一軒家を改装して宿泊施設にしたものを「リヤド」と呼びます。「リヤドRiad」というアラビア語は、もともと木を植えられた「庭」を意味していましたが、やがて、「パティオ(中庭)のある邸宅」を意味するようになりました。もっとも伝統的なリヤドには、パティオに4本のオレンジの木を植えてあります。その後、ホテルとしてゲストを受け入れるリヤドが増え、現在では一軒家を利用したホテルがリヤドと呼ばれています。

話はリヤド・エニヤに戻りますが、写真の客室は、「カメレオン」という名前がついているスイートルームです。ジャングルのように緑がうっそうと覆う中庭に面していて、この細長い客室とほぼ同じ大きさのバスルームが隣にあります。一度中庭を通ってバスルームに行くという造りが、古い家を改装したリヤドならでは。

実は、この客室に泊まらせていただいちゃいました。ベッド脇の窓の外のテラスにイスとテーブルがあって、そこで食事ができるのですが、夜はテーブルにたくさんのキャンドルとバラの花びらが配されて、とびきりロマンティックでした!

ところが、どんなにステキな演出をしていただいても、ひとり旅の取材でしたので、ロマンティックディナーもたったのひとり! ということで、写真を撮りまくりました。このブログでは1点しか写真がアップできないので残念ですが、私の著書 『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』|httpの中で、ロマンティックなテーブルセッティングを数カットご紹介しています。

翌朝、朝食のテーブルにももちろんバラの花びら。イスに座ろうとしたとき、何か硬いモノを蹴飛ばしてしまいました。「えっ?」とテーブルクロスをめくると、何と、小さな陸ガメが! ロマンティックでもあり、ワイルドなリヤドでした。

朝食後にリヤド内を撮影していたところ、ひとりの日本人女性が通りかかりました。話しかけてみると、土曜朝のテレビ朝日の番組「朝だ!生です旅サラダ」のディレクターの方でした。翌日からの撮影に備えて下見をしているのだとか。お互い仕事中でしたので多くは話せませんでしたが、注目するリヤドは同じだったのですね。

私が1泊した間に、他に2組ほどヨーロッパのメディアが取材に訪れていました。私は、キッチンを撮影させてもらったり、シェフにお料理と食材の写真を撮らせていただいたりと、いろいろなワガママを聞いていただきました。本当にオーナー夫妻には感謝、感謝です。

後日、「朝だ!生です旅サラダ」を拝見したところ、城戸真亜子さんが、私が宿泊したスイート「カメレオン」をレポートされていました。そして、「こんなバスルームを使うのは、きっとベールを被ったお姫様でしょうね」と。「それ、私です!」と思わずテレビに向かって叫んでしまいました(笑)。

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たかせ藍沙

モロッコ マラケシュのスークにて2009/09/14

モロッコ マラケシュのスークにて

今日もJ-WAVEのホームページ|httpに掲載の写真について。下から4枚目のおじいさんの写真です。上記ホームページ内の「BON BOYAGE」の「BACK NUMBER」から2009.9.04.の「モロッコ マラケシュ」をクリックすると番組の内容もご覧いただけます。

実はこの写真、私の著書『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』|httpにも掲載しているのですが、2008年8月30日の、朝日新聞の朝刊に掲載されました。見たことがあるという方もいらっしゃるかと思います。記事内容は近日中に私のホームページ|httpでご覧いただける予定です。

この写真は、マラケシュの「メディナ」と呼ばれる旧市街のスーク(市場)の細い路地にあるお店で撮影しました。モロッコ人の年配の方は写真を嫌うことが多いのですが、このおじいさんは特別です。観光客が撮ってプリントした写真を大切そうにアルバムに整理していて、それを自慢げにみせてくれました。「私も写真を撮っていい?」と尋ねると、にっこり笑ってくれました。

おじいさんの名前は誰も知りません。周りの人たちからは「ハッピーアワー」と呼ばれているそうです。いつも幸せそうに笑っているからだとか。赤い色が好きなのか、おじいさんのお店で売っている布地は赤が使われた柄が多く、とても華やかです。

スークでは、このように人がひとりやっと入れるくらいの小さなお店もたくさんあって、細い路地にひしめき合っています。スパイスのスーク、金物のスーク、肉のスーク、バブーシュ(スリッパのような靴、J-WAVEのホームページに写真があります)のスークなど、同じ商品が1箇所にまとまっています。バブーシュのスークには、何千種類ものバブーシュが所狭しと並んでいるので、目移りして迷ってしまうほどです。

スークでは商品に値札はありません。値段が交渉で決まるからです。何軒かまわって比較してから選ぶのもいいですね。値段交渉のコツは焦らないこと。時間をかけて、お店の人と仲良くなったりすると予想以上にまけてくれることもあります。穴場情報も教えてくれるかもしれません。スークでおみやげを探すときには、時間に余裕をもって出かけてくださいね。

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たかせ藍沙

モロッコ マラケシュの美宿、リヤド・エニヤ(2)2009/09/16

モロッコ マラケシュの美宿、リヤド・エニヤ(2)

今日もJ-WAVEのホームページ|に掲載の写真について。下から3枚目のイスの写真です。上記ホームページ内の「BON BOYAGE」の「BACK NUMBER」から2009.9.04.の「モロッコ マラケシュ」をクリックすると番組の内容もご覧いただけます。

このイスは、私の著書『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』|の表紙の写真に写っているイスで、2009.9.11のブログでもご紹介した美しいリヤド(古い邸宅を改装したホテル)の、リヤド・エニヤ|の中庭に置いてあるイスです。洋書の表紙に、偶然にも同じイスの写真が使われていて驚いたことがあります。それほどモロッコらしい配色なのです。ピンクとグリーンといった補色が、モロッコでは、何の違和感もなくインテリアとして溶け込んでしまうのですね。私がモロッコに惚れ込んでしまったのは、そんな美意識があるからでもあるのです。

この写真を撮るために、私は約2時間もかけてしまいました。なぜ2時間もかかったか不思議に思われるかもしれません。それはこんな理由からです。まず、左右対称の写真にしたいと思いました。1人で取材していたので、イスと小物、背景をすべて左右対称にするのに30分以上かかってしまいました。三脚にセットしたカメラのファインダーを覗いては少しイスを動かし、またファインダーを覗いては小物を動かし、布の位置を直し……、そんなことを何度繰り返したことか(笑)。実は古い建物を使っているリヤドの柱や壁の柄は左右対称でなかったりするので、左右対称にするのは大変な作業なんです。

被写体の位置が決まったところで撮影です。ご覧の通り、正面に窓があるので、普通に撮影すると自分がうつってしまいます。中央の窓枠に三脚が隠れるようにセットして、リモートシャッターを持ってしゃがんでシャッターを切ります。そんな屈伸運動を数回繰り返しては、縦にしたり、横にしたり、アングルを変えてみたりしてひととおり撮影。次に、同じ中庭にあった他のイスに入れ替えて同じように撮影します。最終的にイスを3パターンほど替えて撮影しました。

そんなことを繰り返していると、私が撮影していた窓のある部屋の中から女性が出てきました。「ここで撮影していてもいい?」と聞くと、笑顔で「構わないわよ」とのお返事。再び撮影していると、私の傍らでパソコンに向かっているムッシュが。ふと目が合った瞬間、彼は、「僕は邪魔になってない?」と聞いてくれました。「いえ全然! こちらこそ、落ち着かなくてごめんなさいね」などと、周りの方達が心配してくださるほど熱中していました(笑)。

2時間の間にはこんなことも起きました。あるとき気がつくと、窓の中にミネラルウォーターの大きなペットボトルが! 最初にはなかったはずなのに、中にいたゲストが窓の内側に置いたんですね。「いったいいつから……」。でも、そこがデジタルカメラのいいところ。モニターで撮影済みの写真を確認すると、ペットボトルが写り込んでいる写真はそれほど点数が多くはありません。そこで、ルームメイドの女性にお願いして、部屋の中に入ってもらって、ペットボトルを動かしてもらいました。そんな苦労の末、納得の1枚が撮影できたのです。

この写真は、シャッターチャンスが1回しかないような、瞬間をとらえた写真とはまったく違います。モロッコの美意識を、さらに完璧なものにするために時間をかけました。でも、また同じ場所に行っても同じ写真は撮れないかも知れないということでは同じです。イスが色褪せているかもしれませんし、カーテンが変わっているかもしれません。実際、取材前に見た同じ場所の写真に写っていた赤いソファはもうありませんでした。

どんな写真でも、やっぱり一期一会なんですね。

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たかせ藍沙